そのお仕事を始められたきっかけは何ですか?
私は多古町の出身で、この町に育ててもらいました。今は都内に住んでいますが、荒れていく田畑や山林、そして高齢化が進む様子を見て、いつか故郷に恩返しをしたいという思いをずっと持っていました。
この「多古の里」は、祖父と父が建ててくれた大切な建物です。これを活用し、ただの宿泊施設ではなく、「多古町から世界に発信できる拠点」にしたいと考えました。
旅館ではなく、あえて「一棟貸し」という形を選ばれたのはなぜですか?
一番の理由は人件費です。旅館のように常に人を配置するのは難しい。それよりも、建物すべてを家族やグループ水入らずで活用してもらい、まるで「別荘のように自由に過ごしてほしい」という思いからです。
当初は「多古町に人が来てくれるか」不安でしたが、嬉しいことに現在は日本のファミリー層の方々が利用してくださっています。今後は、特にインバウンドを呼べるよう、ここでしかできない体験型のコンテンツを充実させたいと考えています。
成田空港に近いのが多古町の特徴ですが、インバウンドのお客様はいらっしゃいますか?
インバウンドについては、まだ千葉県まで足を延ばす外国人は少ないのが現状です。しかし、この場所から半径10km圏内に成田山、香取市、九十九里、銚子といった魅力的な観光地があります。
これらとタイアップして、魅力的な滞在コンテンツを作ることができないかなあと考えています。過去には、流しそうめんをやったことがあります。今後は、農業体験や、裏山を活用したハイキングコースの整備、餅つきといった日本文化の体験も検討しています。
「福祉」の事業にも取り組まれているそうですね?
はい。現在、多古の里ではバリアフリーな施設を目指して、車椅子の方でも利用できる施設をゼロから構築し始めています。私はこれまでに、健常者だった人が急に車椅子になって落ち込んでしまうような場面を見てきました。そういった方々が、また生きる意欲を持てるような、誰もが利用できる施設にしたいです。
多古町の活性化について、どのような考えをお持ちですか?
個人的には、荒れている田んぼや山林、そしてそれによるイノシシの出没などが気になっています。こういった問題は、一企業だけの体力では解決できません。国や行政が一体となって力を合わせる必要があります。
その中で、私たちのような民間事業者が「町おこしの先導役」として、皆さんが集まるコンテンツを提供していきたい。以前、別の場所でスカイランタンのようなイベントに多くの人が集まったのを見て、「人を惹きつけるコンテンツの力」を実感しました。地元のイベントにも参加させてもらいながら、地域の皆さんと一緒に、多古町の明るい未来を作っていきたいですね!